比治山は広島駅から直線距離で2km、広島の繁華街である流川からも1.5kmほどの、広島市内にある小さい山だ。
広島市は三角州の上にできた街だが、その平らな三角州のなかにぽつんと比治山がある。どうやってできたのか不思議でたまらないが、とにかくそこに山がある。
比治山には比治山公園という公園がある。公園というよりも適度に整えられた山のなかに美術館や図書館などの施設があるというほうが印象に近い。
広島市現代美術館の建築
広島市現代美術館はその比治山公園のなかにある美術館だ。今年の3月にリニューアルが完了したようで、ちょうどいい機会だと思い、初めて行ってみた。
広島市現代美術館の建築は、正面が視力検査の記号のような、C字型の独特な形になっている。円や長方形などの幾何学的な形が組み合わさった建物で、モダンな印象を受ける。
蝉の鳴き声が響く比治山の坂道を登っていくと、このようなモダンで無機質的な建物が突然出てきて、打ち捨てられた宇宙船を偶然見つけてしまったような気分になって気持ちが高まる。
美術館のなかにはリニューアルマップという印刷物があり、どこをどう修繕したのか見て回れるようになっていた。新旧の壁が入り混じって色が違うところなどを見つけるというような楽しみ方ができる。
リニューアルとデザイン
リニューアルの一貫として、ピクトグラムやタイポグラフィのデザインも一新されたらしく、建築物以外のデザインにも目に留まった。
トイレのピクトグラムは主張が強く、賛否が分かれそうだ。
ピクトグラムを構成する図形は広島市現代美術館の建築がモチーフらしい。
「新生タイポプロジェクト」という、広島の街中の看板などの文字を、美術館の案内板などのデザインに使うプロジェクトがあった。タイポグラフィが好きなので、こういうのは好き。
バレーボールなどのスポーツ用品で有名なモルテンの「モ」が置かれていた。
モルテンのデザインは「キッズスペース」に受け継がれていた。
展示
建築やデザインだけではなく、もちろん展示も見てきた。
屋外に設置してあるボテロの「小さな鳥」は可愛くて印象に残っている。
名前に反して小さくはない。
後ろから見てもかわいい。
どれが一番印象に残ったかというと、丸木位里・丸木俊の「原爆の図」だ。8月の広島で、見ているからかもしれないが、生々しい恐ろしさがあった。
まとめ
美術に興味のある人はもちろん、建築に興味のある人、デザインに興味のある人にも楽しめる美術館だったので、広島市現代美術館おすすめです。