年末年始に呼んだ本 無形資産など

『無形資産が経済を支配する』『GDP 〈小さくて大きな数字〉の歴史』『経済のトリセツ』

一応会社という組織で仕事をしているので「生産性」という言葉を見ることがそこそこある。しかし大学を卒業して以来情報を扱う仕事をしていて、俺達の仕事の生産性ってなんだという疑問をぼんやりと抱えていた。農作物や鉄鋼や自動車なんかだと、生産物は目に見えるし、生産量も何トンといのが明らかだ。でもソフトウェアやメディアの仕事の生産物や生産量って?90分の映画より180分のほうが生産量が多いのか、書いたコードの行数やコミット数がソフトウェアエンジニアの生産量なのか?とか

そういう形のないものの経済が、すべての経済活動のなかでも大きな比率を占めるようになってきているのというのは、歴史的に新しい出来事で、20世紀的な大量生産の経済の理屈だけで理解しようとすると齟齬が生じるのも当然だな、というのがこれらの本を読んでわかってよかった。

本書のねらいは、なぜ無形資産がこんなに着実で長期的な増大を見せているかを説明することではない。私たちは、その台頭と、それが経済全体にあたえる影響のほうに関心がある。 --『無形資産が経済を支配する』

GDPは20世紀の大量生産経済を前提とした指標であり、21世紀の経済における急速なイノベーションやデジタル化された無形サービスには対応しきれていない。 -- 『GDP 〈小さくて大きな数字〉の歴史』

もちろんこれにはいくつか原因があって、モロッコは失業率がとりあえず高い、というのはある。だけれど、それ以上に、こいつら本質的に単に怠け者なんじゃないー? と思うことはままある(そこのあなた、ないとは言わせませんよ)。気楽な旅行者なら、「人生、あくせく働くだけが能じゃないんだなー」とか「仕事に埋もれている自分の日常を見直すきっかけに」とか、くだらんおためごかしをつぶやいて悦に入っていればいいや。でも援助するとなると、そうはいかんのよ。 -- 援助屋の悩み:経済ってどうすりゃ発展すんの?, 経済のトリセツ

『経済のトリセツ』は山形浩生さんの書いたエッセイや翻訳した書籍の解説をまとめたものだ。自身のブログに投稿している生産性に関する議論も載っていた。経済の話が面白いというのもあるけど、そもそもこの人の書く文章の躍動感が好き。

もちろんそれが楽しいのは、読者のみなさんが有益で生産的な議論をいろいろ展開してくれるから……ではない。はてなブックマークにしてもトラックバックにしても、多くは単なるバカと無知の表明にすぎないものばかり。ぼくがまったく考えなかったような論点を指摘してくれるものなんてほとんどありゃしない。 -- 生産性の話の基礎、経済のトリセツ

ムーミン全集 3 新版 ムーミンパパの思い出

文庫版もあるけど、それより新しい。文庫よりも大きくちょうどいいサイズ。

この日いちばん意味があったのは、わたしに初めての友だちができたということです。これから本当の意味でわたしの人生が始まるのです。 -- ムーミン全集 3 新版 ムーミンパパの思い出

フレドリクソンとムーミンパパの出会いのシーン。フレドリクソンは発明家でかっこいい船をつくれるすごいヤツ。一番好き。

新版 音楽好きな脳 ~人はなぜ音楽に夢中になるのか

最近楽器および音楽に興味があるので読んだ。具体的な感想は長くなるので省略。音楽は好きだけど知識は少ないので、面白く読むことができた。