「ゲームさんぽ」というYouTube動画がある1。その書籍が出ていたので読んでみた。動画を書き起こしたものかと思ったらそうではなく、ゲームさんぽに関わった専門家や中の人のインタビューなどのコンテンツで、動画とはまた違ういいものになっていた。
ゲームさんぽの動画はビデオゲームを様々な分野の専門家と一緒に見て、専門家の視点から解説してもらうというものだ。個人的に好きなのは倉方俊輔さん(建築史家)、石原良純さん(気象予報士)がでている動画だ。
書籍の方にも倉方俊輔さん、石原良純さんなどの話は載っていて楽しい読み物になっている。この書籍は脚注が豊富で面白いのがいい。動画だと時間の流れがあるので脚注のような形で中断して、そして再開するというのは向いていない。一方で書籍だと、脚注で補足の解説をしたり、参考書籍を紹介したりできる。
脚注は同じページのすぐ下にレイアウトされている。同じページの下や横に脚注が入っている本はいい。後ろにまとめていると、行ったり来たりで大変だ。
専門家が選ぶブックガイドのコーナーもあって、この本をきっかけに別の本を読んでみようと思えるような本になっていた。
まさに古代ギリシャについてのインタビューで話題になっていたけど、書かれたものの良さっていうのは、参照しやすいことだ。書籍のゲームさんぽではその良さがよく発揮されていると思う。
YouTubeの書き起こしが検索できて、そこだけ引用したり貼り付けたりできるようになったら、話したものが書かれたものと同じくらい参照しやすくなることはあり得るけど、そうしたら話し言葉の程よいゆるさがなくなってしまうかもしれない。
程よくゆるい話し言葉の方は動画で楽しみ、書かれたものは書籍で楽しむという今の区分がちょうどいい感じがする。